【時事通信】ドイツ緑の党、「選ばれない党」から「避けられない党」に−緑の党は連邦レベルでは30年ほど前に発足した。1968年の学生運動、「原水爆禁止」活動、既存の環境保護活動、それに男女同権主義運動などの出身者によって組織された

時事通信】ドイツ緑の党、「選ばれない党」から「避けられない党」に
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 【ベルリン7日ロイター時事】ドイツの「緑の党」運動は、ドイツの一般国民の環境意識を高め、最近も一段と発展しようとしている。これは既に世界で最も成功した環境保護運動だ。同党(正式には「90年連合・緑の党」)は2013年の総選挙でキングメーカーになる可能性もある。

 緑の党は連邦レベルでは30年ほど前に発足した。1968年の学生運動、「原水爆禁止」活動、既存の環境保護活動、それに男女同権主義運動などの出身者によって組織された。その後、98年から2005年の間、当時のシュレーダー首相率いる社民党(SPD)と連立を組み、初めて中央政権を担った。

 しかし、同党は過去1年間、独自の力を見せるようになっている。地方選挙で力強い支持を集め、初めて16州全てで議席を獲得したほか、保守的なバーデン・ビュルテンベルク州で、ウィンフリート・クレッチュマン氏がメルケル首相率いるキリスト教民主同盟(CDU)を破り、同党初の州首相になった。

 ドイツ政界では「グリーン化」が進行中だ。今年3月の福島第1原子力発電所の事故後、メルケル首相までもが脱原発にシフトし、原発の閉鎖を急いでいる。これを受け、緑の党は幅広い支持を集めて主流派に成長した。

 緑の党クラウディア・ロート共同代表はロイター通信とのインタビューで、「経済成長と環境保護が互いに矛盾しないということをわれわれは示した。これは大躍進だ」と語った。同氏は「昔は『景気の良いときは緑の党を支持する余裕があるが、経済成長のための仕事となると、必要なのは緑の党でない』と言われてきた」と述べた。

 世論調査の同党の支持率は、09年の総選挙時には10.7%だったが、ここ1年で15?20%と記録的な水準にまで上がった。現在、中央でCDUと連立を組む自由民主党(FDP)を超え、CDU(32%前後)、SPD(最大で30%)に次ぎ、3番目に高い。英アストン大学のサイモン・グリーン教授(政治学)は、「次回の総選挙で再び政権党になる可能性は十分にある」と述べた。

 大半のアナリストは、緑の党にとって選択肢はSPDとの提携の公算が最も大きいことで一致している。ロート代表も、SPDが同党にとって最初の選択であることは「疑いない」と述べた。ただし、同党が場合によってはSPDではなくCDUと手を結ぶ可能性もないわけではないとの姿勢を示している。[時事通信社](2011/11/08-12:40)